人は時として、長い長〜いトンネルに入ってしまった、と感じることがある。

すべてがモノトーンに、グレーに、暗く見えて、もがいてももがいても、出口が見えない。いつになったら外からの光が見えて来るのか、と途方に暮れることもあると思う。

ママンも昔、そんな日々があった。

それは大学1年生の頃。

高校卒業後カナダの大学に留学し、毎日毎日気が狂ってしまうくらい勉強をしていた。半端ない課題の量に追われ、ひたすら図書館に篭り課題に奮闘していた。そういう意味では結構孤独で大変な留学生活であった。

でも、その時に初めて、”勉強って楽しい!”と心から思えたのだ。日本にいたとき(高校生まで)は、勉強に対するモチベーションはテストでいい点をとるため、だったのだ。ところがカナダに留学し、初めて”学問”というものに出会い、”勉学”が楽しいと本気で感じていた。

そしてそんな勉学に満ちた留学中、”教師になりたい”という夢に目覚め、結局日本へ戻り教育学科に入学した。

夢も見つけ、興味のある学問もでき、”ハッピーxハッピー!”と思いきや、だんだんと、かなり高まっていた学問に対するモチベーションと実際に学校側から提供される授業とのギャップ。

長い受験人生を終えて、遊ぶ気満々で入学して来た高校卒業後ほやほやのクラスメートたちとのギャップ。

ある意味、日々が”戦い”であった異国での留学生活から、急に平和でゆる〜い自国に戻り、緊張が一気にほぐれ、気が抜けてしまったのかもしれない。

急に”私は一体ここで何をしているんだろうか?”、”何のために戻って来たんだろうか?”、”これで本当によかったんだろうか?”、と様々なことで?マークが頭を巡り、答えが出ない状況に陥ってしまったのだ。

こうして悶々とする日々を過ごすこと約半年。

同じような状況(悶々病!)に陥っていた友達と、気分転換(現実逃避とも言う(笑))を兼ねて授業をサボって新幹線で長野に行ったり、カフェでひたすらおしゃべりしたり、彼女の知り合いの新米ママになった女医さんのところにお話を聞きに行ったりもした。

もちろん、そういったことも一時的なリフレッシュにはなった。けれどもまた日常が始まると、やっぱりまた昨日みたいな悶々とした日常の自分に戻ってしまうのだ。

そうこうしているうちに、当時付き合っていた彼がパリに留学していたので、この際、バイトで貯めたお金でパリに遊びに行ってみよう!と思い切って春休みを約1ヶ月、パリにいる彼のところで過ごすことに決めたのだ。

もちろんママンの記憶にあるパリはその時が人生で初。

シャルル・ド・ゴール空港から16区で一人暮らしをする彼のアパルトマンに向かうメトロのレトロな感じや、その独特な匂い(今となってはパリを彷彿させる懐かしい思い出の匂い!)。

メトロの駅から出た時に広がるオスマン建築のアパルトマンたち。

街角のおしゃれなパン屋さん、花屋さん、そしてカフェやブラッスリー。

シックな着こなしで颯爽と街を歩くパリジャンたち。

そして遠くに覗くエッフェル塔。

それから、彼のアパルトマンの昔ながらの衝撃的なエレベーター。

そのすべてがママンの心を一瞬にして奪ってしまったのだ!

まるで夢の国で過ごしていたような1ヶ月。

当時の悶々としたママンに、”パリ”があまりに大きな衝撃を与えてくれのだろう。

その1ヶ月の間に悶々とした長く続いていたトンネルの先に光が見えて来たのだ。

私がやりたいことはこれだ!私の向かう方向はこっちだ!というのが見えて来たのだ。

帰国してから、早速フランス語の本を買い、4月から当時すでに受講していたドイツ語に追加し、フランス語も受講することにし、フランス語のラジオ講座も聴くことにした。そして毎回フランス語を勉強するたびに、かなりの興奮状態に陥っていたことを思い出す(今もそれくらいのモチベーションがあったらよいのだけど笑)。

長くなってしまいましたが、何が言いたかったかというと、何かに悶々としている時、五月病にかかってしまったような時、答えを見つけたくても見つからないとき、トンネルから抜け出せないうなとき、そんなときは、”非日常”に触れるのがいい。

できるだけ、日常とは懸け離れたこと。

ママンは、幸運なことに遠く遠くのパリで1ヶ月過ごすことができた。でも、そんなに遠くまで行かなくても、そんなに長い”非日常”を味わなくてもいい。

例えば、一人でふらっと電車の旅をしてみる。異国で短期の習い事をしてみる。何かのセミナーに参加してみる。自分とは全く違った世界にいる人と話してみる。普段参加しないようなイベントに参加してみる。新しい習い事をしてみる、などなど。

とにかく、これまでやっていなかったことをやる、行ったことのないところに行く、出会ったことのないような人たちに出会う、など、新しいことをやってみる。”非日常”な体験をする。というのは、良い意味で人に”衝撃”を与えるので、もやもやや、悶々とした何かが晴れる可能性が高い。また、少なくとも、”こんな場所があったんだ!”、”こんな生き方があったんだ!”、”こんな楽しみがあったんた!”、”こんな人たちがいたんだ!”といった感動やインスピレーションが得られる。

それだけでも、かなりの儲け物!

人はきっと、どこに向かっているか、という方向性が見えないと何となく不安になったり、気分が上がらなかったりするものだと思う。けれども、どこに向かおうとしているか、どこに向かいたいか、何が楽しいか、何をしたいか、ということがわかればわかるほど、よいエネルギーが湧いてくるように思う。生き生きしてくると思う。そしてポジティブな安心感が芽生えると思うのです。

そしてまた、不思議と、一旦、光が見えてきて、エネルギーがみなぎってくると、益々色々なことがやりたくなる。益々生き生きとし、出会いに恵まれ、そして更に楽しくなってくる。

ということで、結局はいつものごとく長くなってしまいましたが、もしトンネルの中でもがいているなら、何かいつもとは違うことをしてみる、違う場所に身を置いてみることがおすすめ!

何かピンとひらめいたり、急に小さな光がトンネルの中に差し込んでくるかもしれない。

まずは心を落ち着かせる音楽を聴いて、それからどんな”非日常”が体験できるか作戦を練ってみてはいかが?❤️

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