日本の多くの企業はボーナスが夏と冬の年に2回支給されますが、イギリスでは通常は年に1回、2月から3月にかけての時期に支払われることが多いようです。

2013-08-19 00.17.23

ボーナスの支給が年に一度。多くの社員はボーナスのために1年間耐えている、というのが現実であるようです。そしてボーナスを手にした直後、退職届を提出する人もかなり多いとか。というのは、ボーナスが支給される前に退職届を出してしまうとボーナスをもらう権利を失ってしまうのです。なので、もらった後にさっさとやめて次を探す!みたいな人がわっさわっさ。ということで、この時期は労働市場が更に活発になるようであります。

そもそもイギリスでは日本と違い、会社に対する忠誠心なるものはありません。雇用主と従業員の間の契約はドライなものであり、時間とスキルを提供するかわりに償いとして報酬を支払う、ビジネスtoビジネスのつながりでしかないのです。なので、従業員はよそでもっと条件のよいポジションを見つけたらもちろんほいほいそっちに流れるし、会社は会社でボーナスを慰労金的に支払っているのではなく、人材戦略のひとつとして利用しているのです。

つまり、この人には是非会社に居続けて欲しい、居てくれなくては困る、競合他社にとられたらたまったものではない!という人にはもちろん大いに寛大なボーナスを支給するし、この人に関してはまあ代わりはいくらでも見つかる、という人にはたいした金額を支給しない。これまた非常にアグレッシブな競争社会なのであります。

そう、ボーナスは人を引き止めるのにも、突き放すためにも使われているのです。そして従業員はどんなに仕事がいやでもとりあえずボーナスをもらうまでは我慢し、もらったら勝ち。やめたきゃそのときにやめればいい、と、お互いがよくも悪くも利用し合っているのであります。両者の間に信頼感や人間的な感情の交わりといった類のものはあまりありません。

2013-08-14 13.05.42

ボーナスとモチベーションの関係を見てみると、確かにボーナスはモチベーションに影響する。どんなに仕事がいやな人でも、ボーナスもらうまでは頑張ろう!となる。また、ボーナスを期待以上にもらった人は、嬉しさのあまり、もっと仕事を頑張ろう!という気になるのです。そしたら来年はもっともらえるかもしれない、とさらに仕事に熱が入るのです。逆に言うと、ボーナスの金額が期待以上に少ない場合はモチベーションを下げる原因ともつながり、それはそれで問題となるわけです。なので社員(特に役職が高い社員)のボーナスの金額を決定することは会社の運命にもつながる非常に重要な活動であるようなのです。

ビジネススクールで勉強していたときに、好きだった授業の一つが社員のモチベーションとorganizational development(組織の成長)についてでした。学者のリサーチによると結局はボーナスのような外からのモチベーションは短絡的なもので、やはり継続的なモチベーションは内発的なもの(仕事が楽しい、好き、役に立てて嬉しい)が大きく起因している、という記事を多く読んだ。これには納得。確かにお金をもらえることは嬉しいし、一次的には、”よ〜し、頑張るぞ!”と思う。けれども、やっぱり1日の大半の時間を仕事に費やすわけだから、好きと思える、楽しいと思える仕事でないと、モチベーションを継続するのは大変だし、そのうち、いろいろな質問(何してるんだろう?本当にこのままでいいの?本当は違うことがしたいんじゃないの?)を自分自身に問いかける結果となるからです。

2013-07-18 11.56.40

現代に生きる女性(男性もですね!)は、生き方の選択肢が多い分、お金、仕事、キャリア、生活、家族、子供。。。何だか考えること、やるべきこと、決めるべきことがたくさんあって大変です(笑)。

とはいえ、やはりお金は人に幸せを与えてくれるかはわからないけど、一次的な快楽とある程度の自由を与えてくれるのは確かです。

すぐに底をついてしまうことを承知ながらも今回のボーナスは何に使おう、と考えるのはとっても楽しい作業なのであります♪

おすすめの記事