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フランスの「しつけ」

この間、道を歩いていたら、遠くから子供を叱るような母らしき叫び声が聞こえた。

何だかドキドキしてしまいながらも近づいてみると、そこには言うことを聞かない(?)娘に怒鳴りつける母の姿。フランス人だった。

あ〜、やっぱり。

と思った。イギリスに来てからはあまりこのような場面には遭遇していないけれど、フランスではよく目の当たりにした。

そう、フランスでは子供に怒鳴りつけるのは日常茶飯事なのだ。

フランスに住んでいた頃、ある日、お兄ちんを幼稚園に迎えに行ったときのこと。

娘を迎えに行った直後に、幼稚園の先生から”お漏らしのパンツ袋”を渡された、とあるお母さんが、お漏らしをしてしまったその娘に対してすごい勢いで怒鳴り出した。

”もう4回目よ!何であんたはまた繰り返すの!いい加減にしなさい!今度したらただじゃおかないから!”と。。。

何だか、私の方が恐怖におののいた、と同時に、娘がかわいそうになってしまった。だって、きっとその子だって、もちろんお漏らしをしたくてしてるわけじゃないでしょ?自分でもきっと”あ〜やっちゃった。。。”って思っているはず。それを頭ごなしにあんな怒鳴られ方されたら、余計にお漏らし繰り返しちゃうんじゃないか、と思ったのを思い出した。

フランスでは大人は子供に対して威厳を見せしめるのは大切なことだと捉えられているようだ。何かにつけ、”もう充分、やめなさい!”と叱る、そしてよく怒鳴る。お兄ちんが3歳から4歳半まで1年半通っていた幼稚園でも、先生は、日本の幼稚園の先生のように若くて優しいお姉さん的な存在ではなく、年配のこわ〜いおばちゃんなのだ。そして当時いたずら盛りのお兄ちんは、実際よく叱られ、プニ (puni, 罰を受けること)されていた。なので、先生のドミニクは彼にとっては怖くって嫌いな存在だったのだ。(夫とママンは結構好きな先生であったけど(笑))。

また、フランスでは”甘え”ということに対してあまり寛容ではない。というよりむしろ許容しない、といった方が正しいかもしれない。

例えば、おっぱいをあげるタイミングに関して、日本では欲しがるだけあげる、というのが通念だったと思うけど、フランスでは生まれたての赤ちゃんには、3時間おき、というのが基本的なパターン。なので、常に時間をはかって、授乳するのが普通だ。赤ちゃんが泣いたからって、あげちゃだめ。そして、泣いたからって、常に抱っこしたらだめ。そんなに甘やかすのは親にとっても子供にとってもよくない、と。

今思い起こせば、よく義母からも、”さっきはいつおっぱいあげたの? つい、30分前じゃない?そんなにあげないの!”と叱責され、それでも繰り返す私にそのうち彼女も諦めたのか、”またあげてる。あなたはまるで巨大おしゃぶりのようね!”と嫌味を言われたりもした(当時は頭に来てたけど、今となっては笑話。やはり時間というものは色々なことを癒してくれたり解決してくれたりする笑)。

寝かしつけだって、決まった時間になったら子供部屋にある子供用ベッドに”放り込んで”、おしまい。どんなに泣いても放っておくべきだ、と。

おっぱいだって、赤ちゃんなんだからあげたいだけあげればいいじゃんか。体の栄養というだけの役割ではなく、心の栄養にもなるし、安心感も得られるだろうし、そもそも赤ちゃんは人間であって機械じゃないんだから、そんなに時間をきちんと測定して厳密に遵守し授乳するべきなんだろうか?という?マークが常にママンにはあった。

寝かしつけだって、川の字になってみんなの存在を感じながら寝ればいいじゃないか。親の隣で体温と寝息を感じながら安心して眠ればいいじゃないか。しかもきちんと眠りに落ちるまで手を握ってあげたり、子守唄を歌ってあげたり、背中をポンポンしてあげればいいじゃないか、って思っていたし、実は今でも思っている。なので、うちでは実際、そのように隣に横になって寝かしつけをしていた。ちなみに今でも、もう8歳になろうお兄ちんだって、パパかママンに毎日寝かしつけてもらっている(やりすぎ?!)。

でもでも、一般的なフランス人からしたらそれはすべて甘えなのだ。甘えはよくないとする彼らからすると、やっぱり日本の子供たちは甘えん坊に映るようだ。逆に私から見ると、フランスの子供たちがやたら自立しているように見えるのは、このような彼らの”しつけ”によるのかもしれない。

長くなってしまったけど、もう一つエピソード。

お兄ちんが1歳くらいの頃。まだ育休中で子育てに専念していた頃、時々友達が家に遊びに来てくれていた。そして、ある仏人女性の友人が来てくれたとき、お兄ちんに台所のシンクで遊ばせている私を見て唖然。

”そんなところで遊ばせたらだめでしょ! 子供が遊んでいいのは子供用のおもちゃだけ!”と。

確かにおっしゃる通りなのだけど、お兄ちんが”水”というものに強烈な興味を示していたのを知っていたので、シンクによいしょと運び入れ、様々なプラスチックの容器を用意して、水を時々ちょろちょろと流して遊ぶのがママンとお兄ちんの日課になっていたのだ。もちろん彼が落ちちゃわないようにママンはしっかりと彼の横に立って。ママンは、水をこっちの器からあっちの器に入れ替えたりする動作を楽しんでいる当時赤ちゃんのお兄ちんの姿を観察するのがとっても面白かったのです。しかも、子供が強烈な興味を示す、ということはそこから必ず何かを学びとっていると思うし、”水”という存在を五感をフル活用して体感している貴重な遊びだと思っていたんだけど。。。(ちなみに、ここだけの話、ママンは下のぼくちんにも懲りずに同じ遊びをさせていた笑)。

でも、これも、フランス人からすると、子供が触っていいのはおもちゃだけ。大人のもの(おもちゃ以外のもの)は無駄に触ったり遊んだりしてはいけない、と。

なるほど。まあ、確かにシンクの中に赤ちゃんを入れて遊ぶママンは異常かも。

とはいえ、フランス的な子育ては”あれだめ、これだめ”がやっぱり多いように思う。

確かにルールや限界値は必要なんだけど、あまりにだめだめばかりだと、子供の成長がある意味阻まれる気がするし、子供にとってフラストレーションやストレスにもなりかねないような気がするのです。まあ、そればっかりは子供になってみないとわからないけど、ルールなどは社会性を身につける頃から自然と学ぶであろうし、そこで覚えればいいと思うのです。

というわけで、何だか一旦書き出してみると、色んなエピソードが思い出されて来て、結果的にこんなに長くなってしまった。

と今ここで思ったのは、やはり何事もバランスが大事か!ということ。

厳しすぎるのもよくないし、甘すぎるのもよくない。パパが厳しければママがたっぷり甘やかしてあげればいい。逆でもいい。問題なのはうちみたいに、パパもママンも甘いこと。

でも、まあいっか。きっと子供たちはママンたちからの愛情はたっぷりと感じてくれている。

何はともあれ、万国共通。それがきっと一番大切な”しつけ”なのだと思う??

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