インターナショナルスクールというと、”華やか”で、”国際的”で、”外国語に流暢”で、”自由”で、といったようなイメージを持つ人が多いのではと思う。
確かにそういった側面もある。
我が子たちは入った時期は異なるとは言え、現在は二人とも、大きな括りとしてはインターナショナルスクール(フレンチスクール)に通っている。
お兄ちん(10歳)はロンドンから東京に越して来た約2年前から、弟の小さなぼくちん(5歳)は昨年の9月から。
我が家の場合は、そもそも日本に越して来た時に、長期的に滞在したいとの思いは強かったものの現実問題、何年滞在するのか定かではない、という理由と、それまでフランス・イギリス育ちだったお兄ちんが、住処が決まるまでの2か月間日本の現地校に通っていた間に、フレンチスクールに見学に行った際、絶対にこの学校に入りたい!と強く希望したため、という理由がある。
やはり欧州の学校のスタイルに慣れていると、日本人ばかりで一斉教育を施す日本の学校がとても閉鎖的に、そして窮屈に感じる部分があったようだ。
彼にとっては、フレンチスクールのような様々な人種がいて自由な雰囲気の方がアットホームに感じたようだ。
また、子供を日本の学校に入れてしまうと、仏人である夫、そしてフランスにいる夫ファミリーにとっては肩身が狭くなり、そのうち会話も普通にできなくなり面白くないだろうな、ということも考慮し、フレンチスクールを選択するに至った。
さて、では実際に入ってみてどうかというと、利点もあるし、懸念点もある。
利点と言えば、子供たちが楽しいと絶賛していて、とてもハッピーであること。
フランス語と日本語、両方の文化と言語を学べていること。
日仏ハーフ(厳密には、日本xオーストリアxフランスxイタリア!)ということで同じような仲間が多くいるので違和感がない(安心感がある)こと。
保守的ではあるものの、個性を大切にする質の高い教育を受けられる環境であること。
考えさせる場面や創造性を発揮させる場面が授業を通して多くあること。
人種のバラエティーが豊かでグローバルマインドが育つこと。
そして何と言っても給食がおいしいこと笑(子供たちいわく、とてもおいしいと!)。
といったような子供目線での利点の他に、保護者としても、お弁当を作らなくて良いので楽、高校生までほぼ自動的に上がれるので気楽、PTAや煩雑な仕事やイベント等があまりないのでこれまた気楽。そして、日本にいながら国際的でオープンな環境に身を置けるため、出会いも充実し、大人としても刺激的で楽しい、という利点がある。
夫にとっても日本在住の仏人パパ友達もできるし、自分の言語・文化を子供に伝承できることもあり、とても満足しているように見える。
ところが一方で、大きな懸念点もある。
これはインターナショナルスクールに子供を通わせる多くの保護者がどこかの時点で悩むことなのだと思うけど、将来子供はアイデンティティークライシスに陥らないだろうか、ということ。
やはり同じく日仏家庭の両親たちとはよくこの話題になる。
短期的に滞在するのであれば、インターナショナルスクールとは素晴らしい環境なのかもしれない。
けれども、結局子供時代をずっと日本にいながらにしてインターに通うとなると、日本人でありながら、日本人でない、というか、日本人でもあるのに、そして日本に住んでいるのに、日本語能力は“普通”の日本人の子に比べれば劣る可能性が高い、日本の地理・歴史・文化の理解も劣ることになる可能性が高い、日本の一斉教育を受けている子たちのような日本文化への順応性や協調性は欠ける、となると、果たして将来は日本という社会でうまくやっていけるのか?
といった不安がよぎる。
かといって、日本という国で育って将来的に例えばフランスに渡ったとして、言葉の問題はなかったとしても、文化的に順応できるのか、フランスという国(経済・政治・文化を含め)をどれくらい理解できるのだろうか、フランス人として受け入れられるのか、フランスの生活に馴染めるだろうか。
とそんな不安がよぎる。
一体自分のホームはどこなのか。
と、宙ぶらりんな根無し草のような気分に陥ったりはしないか?
そんな風な懸念を多くの保護者は抱いていることがわかった。
ママンもそればかりは正直わからない。
そんな壁にぶち当たることもあるんじゃないかって思う。
ぶち当たること自体は悪くはないけれど(いや、どこかの場面で必要かもしれない)、それが本人に不利に働いては欲しくない。
コンプレックスや弱点として受け取ってもらいたくはない。
むしろ、それを活かした、そういった環境で育ったからこそできることをやり、役割を全うし、世の中に貢献し、自己実現していって欲しいと強く思う。
現地の学校の方がいいのか、インターの方がいいのか、そういう問題ではない。
むしろその“違い”、ダイバーシティーが世の中には必要であると思う。
みんな同じであったら社会も会社も家族も機能しない。
違いがあるからこそ、補い合い、シナジー、相乗効果がうまれ、良いものが生まれる。
というわけで、現地の子は現地だからこその強みを生かせばいいし、インターの子はインターならではの強みを生かせばいい。
みんながそれぞれの違った才能や環境、個性を活かせる役割を見つけ全うできたら、どんなに素晴らしい世の中になるんだろうかと想像すると将来が明るく見えてくる(ってそんな風にして勝手にニヤニヤ気分が盛り上がってしまう自分がの頭の中がいかに”お花畑”かと思うとそんな自分に笑える!)。
というわけで、インターナショナルスクールの是非について真面目に考えてみました。