少子化問題についての議論があると必ずといっていいほど、フランスの事例が語られている。実際にパリで子供を産んでその後子供が4歳半になるまでパリで生活していて気がついたことを書いてみようと思う。

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フランスの出生率は現在1.99ほどらしく、先進国の中ではだいぶ高い数値であるようです。もちろん総人口の中に占める移民の割合もだいぶ高く、一般的に移民の方たちは比較的子だくさんなので、彼らが数値を引き上げている一つの要因としても考えられる。とはいえ、実際、生粋のフランス人も普通に産んでいる。

どうしてかと考えると、フランスでは子供を産んでも生活が180度変わるわけではないのが大きな要因なのではないか、とママンは勝手に勘ぐっている。つまり、親になることへの負担が他国に比べて大きくない気がするのです。親になるとは、まず体力的精神的負担があるばかりか、金銭的負担が大きくのしかかる。また、ありとあらゆる自由(時間、社交、旅行、エンターテイメント等)も制限され、命を守り育てるという重大な責任を一生負うことになる。確かにその分のリターンとしてかけがえのない愛情や喜びを得られるし、”孤独”ではなくなるかもしれない。とはいえ、得られるであろうもの(財産)よりも負担(負債)の方が大きいとなったら、やっぱり子供を産みたいと思えない、というのが自然の流れになると思うのです。子供は本来、財産であるべきで、負債とはしたくないとママンは強く願うのですが。。。

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さて、フランスでは、どうして生活が一転するわけではないかと言うと、自分たち(親)だけで全てをこなす必要がないからです。女性は子供を産んでも数ヶ月後には仕事復帰するのが当たり前。なので、仕事を諦めないといけない、という考えはあまり一般的ではない。子育ても自分以外の人にも手伝ってもらえる(夫や家族、保育ママや保育園など)ので自分だけでお世話をするよりは気分的にも体力的にも負担は少ない。また、妊娠出産に纏わる費用が無料なばかりか、3歳から高校生までの公立学校の教育費が基本的に無料(3歳になり幼稚園に通えるまでは費用が発生するけれど、保育園や保育ママ等の料金は収入別に決まるシステムなので、多少の負担になるとは言え、自分の給与よりも高くなるということは基本的にはない)。また同時に子供が3歳になるまでは少額とは言え、毎月国から子供手当がもらえる(これは世帯収入が一定以上だと対象外)。というわけで、手当が手厚い上にチャイルドケアのインフラが整っているので、親になることへの負担がだいぶ軽減されているのです。

また、いつかどこかでも書いたと記憶しているけど、フランスでは子供は人生の一部であり、自分の人生のすべてではない。なので、子供がいても、時々子供を家族・親戚、もしくはベビーシッターに預けて夫婦のみで外出したり、友達と遊んだり、時には旅行に出かけたりするのも普通に受け入れられている。というわけで、子供を産んだからと言って、まるで自分の人生をすべて諦めて、子供のためだけに尽くすという風にはならなず、”制約”が少なくて済むのです。

そしてまた女性は子供を産んだらメスになる、という発想(恐ろしい発想だと思う!)ももちろんありません。母になってもいつまでも女であるし、夫も周りのそのように扱ってくれるのです。

2013-08-04 13.17.02

さらにもう一つ忘れてならないのが、男性の子育てや家事への関与が比較的大きいこと。フランスではママン世代の男性は自分たちの母親も働いていた人が多いので、おそらく彼らの父親も家事や子育てにある程度携わらざるを得なかったのでしょう。そのような両親の姿を見て育っているので、台所に立つのも子供のお世話をするのも結構自然にすんなりこなす人が多いように思う。

これは妻・母としてはとても助かり、ありがたいことです。母だけにすべての負担がのしかからないので精神面での余裕が生まれます。父も母と同じくらい(理想だけど、まあ現実的にはやはり大部分は女性がせねば、もしくはすべき、と勝手に感じてしまうことは多い)子育てに携わる(ろうとする)し、お互いの両親や兄弟姉妹、時にはシッターさんまで巻き込んで、みんなで子育てに関わってくれるので、やっぱり負担は軽減される。

 

というわけで、またまた長くなってしまいましたが、子供を産むことにより現状へのあらゆるインパクト(負担)がそれほど大きくない、というのが比較的楽に子供を産める要因なのではないかと思うのであります。最近日経ビジネスか何かの記事で少子化対策とフランスについての記事があり、触発され書いてしまいました。少子化対策を練るのであれば、いかに新米両親(特に母)に対するあるゆる負担を軽減できるか、という視点で考察していくのも手かもしれない、と思ったのでありました。あとは、恋愛をいかに普及させるか??だね!

Heart

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